無担保・無保証人融資

無担保・無保証人という、創業者にとっては夢のような条件の融資制度があり、それは日本政策金融公庫(日本公庫)で行っている、新創業融資と呼ばれる融資制度です。

日本政策金融公庫は、財務省管轄の政策金融機関で、金融業務として資金調達支援を行っており、その1つとして新創業融資制度があります。起業支援を目的としているため、営利目的の民間金融機関と違い、無担保・無保証人という破格の条件が適用されています。

融資は、3,000万円(うち運転資金として1,500万円)が上限で、設備投資であれば15年まで、運転資金であれば最大7年までという長い返済期間になっており、利率は金融情勢に左右されるものの、概ね2%後半から3%前半程度です。公的融資に比べると、若干利率が高いですが、それでも無担保・無保証人であることを考慮すると、他に類をみない好条件でしょう。

また、公的融資に対するアドバンテージは、審査期間にもあります。創業当初の投資が必要な状況で、早く資金調達が可能であるのは、事業を有利に進める上で欠かせません。

公的融資 新創業融資
借入先 民間の金融機関 日本政策金融公庫
融資の保証人 信用保証協会 なし
融資額 自治体によって異なる。小口融資が中心。 最大3,000万円
利率 低い 公的融資よりは高い
審査機関 2ヶ月から3ヶ月 1ヶ月程度

保証人が不要な新創業融資は、事業がうまくいかなくなって返済ができなくなっても、経営者個人にまで責任が及ばないという、好条件の融資であるため申し込みも多く、審査を通過せずに融資を受けられない事例も数多くあります。したがって、融資を実行してもらうための創業計画や事業計画は、実現性が高く担当者を納得されるような計画でなくてはなりません。

そして、事業実績が全くないため、事業そのもの以外にも、融資申込者の人柄も重要視されます。経営者として今後事業を成功させていくだけの人物であるか、面談も勝負であると考えて臨む必要があります。

① 管轄の日本政策金融公庫支店に申し込み

問い合わせは電話で、申し込みは郵送でも可能ですが、一度は事前に管轄の支店に出向き、融資制度について相談してみるのは無駄になりません。その際、創業計画書を持参すると、具体的な相談もできます。
申し込みに必要な書類は以下の通りです。

・申込書
・創業計画書
・見積書(設備資金として融資を受ける場合)
・登記事項証明書
・生活衛生関係の事業であれば推薦書
※生活衛生営業指導センターに申請

② 面談

創業計画書の内容を中心に、担当者と面談を行います。
融資をした結果どのように使われるか、また、その結果、事業がどのようになっていき、売上から返済が可能になるという、具体的な資金計画・事業計画がなければ融資は認められません。いくら政府系の金融機関であるといっても、見込みのない事業計画に融資して貸し倒れになるわけにはいかないからです。
面談以外にも、必要であれば担当者が事業の実態を確認するため現地調査を行うこともあります。

③ 融資の実行

無事面談を終えて融資が決まると、ここからは保証人が不要な融資制度であるだけにスムーズに事が運びます。契約書に記入して提出し、指定の口座に振り込んでもらうという流れです。申し込みから融資の実行までは1ヶ月程度、事前相談を含めると1ヶ月半くらいを見込んでおけば大丈夫でしょう。